◇◇明日嫁ぐ私から母へ◇◇
母さんお望みの結婚式はトラブルばかりで、皆にお叱りを受けながらもやっとこの日を迎えることができました、ありがとうございます。
母さんの顔色を伺いきれてない事もあったかも知れません、すみませんでした。
引出物のお買い物に手を借りて楽し気にしてたけど、母さんの顔を立てるために決めたマイナーなギフト店の、少ない選択肢からの、高見え狙いの重くてかさばる安物で、皆さんに舌打ちされないか心配です。
それよりも母さん、私の方が心配だったでしょう？
式の前日だというのに過労と心労で倒れちゃって、最後までごめんなさい。
枕元での母さんの優しい言葉は、ずっと忘れません。
「皆に『式の準備は全て娘がやった』って言っておいてあげたからね」
「義母さんとAさん（母方の叔母）が褒めてたよ」
ありがとう、と伝えるのが精一杯で最後の日はあなたの優しさが浸みました。
結婚式では、全員に毛筆のメッセージを添えたのが好評のようでしたね。
大変だったけど心を込めて書いたのが伝わったのかな。
称賛の声を浴びて上機嫌な母さん、まるであなたが主役みたいでしたよ。
私はいいの、母さんが書道を習わせてくれたお陰ですもの。
手作りのレストランウェディングは苦労ばかりだったけど、きっと時が笑い話に変えてくれるよね。
PS
褒めてたってわりにAさんの祝辞が酷すぎて意味分からなかったけど。
◇◇母の返事◇◇
「Aさんったら、なんであんな事を言ったんだろね」
◇◇１年後、義母からなつみへ告白◇◇
あなたのお母さんは頭がオカシイのではないでしょうか。
挙式直前、お母さんはウチにものすごい剣幕で来られ「娘は何でも私に丸投げ。式の準備は全て私がやった」と大変な怒りようでした。
毛筆はなつみさんが書いたって聞いてますが？と応えたら、本来なら新婦に花を持たせるはずの母親が心底憎々しげに「嘘です。娘は何もできない。釣書の『特技：書道』も嘘」と暴露までしたので大いに驚きました。
その日から私はあなた達のどちらが嘘をついているのか、ずっと観察しておりましたが。ついにお母さん直筆の年賀状をいただいて判明したのです。
◇◇◇◇
トラブルメーカーの母が義母に叱られ、プライドを取り繕うためにやらかしたことが幾重にも誤解を生んだのかもしれない、と庇うように母に質したら。
母「そんなこと言ってないし家にも行ってない。義母さんは嘘つき。認知症だ（怒）」
義母以外に証言者がもう一人いる、夫である。
真実を脳内アップデートしたら鳴り止まぬアラート。スキャンも発動してバグ発見。
私が倒れた時に介抱もせず忽然と姿を消した母。
嫁ぎ先へ乗り込んで毒を吐いていただと？
こちらは激しい頭痛でマジ嘔吐してたのに。
忘れ得ぬ言葉の『言っておいてあげた』に恩着せがましさを感じたものの、気分は百恵ちゃんだったから嘘と見抜けなかった。
やっと効いた鎮痛剤で意識を失うように眠った私を容赦なく起こす母に、在りもしない『優しさ』をみたのも、百恵ちゃんのせい。
叩き起こされて意識朦朧とした中で絞り出した返事に「もう少し眠らせて」よりも「ありがとう」を選んだ私、だって百恵ちゃんだもの。
バグの原因は
百恵ちゃんの「秋桜」だ。
あれこれ思い出を辿ったら、いつの日も一人ではなかったと。
今更ながら１円も出さないけど口だけは出しまくった我儘な母に唇噛んでます。
義母のと同じ毒を吐かれたAさんの祝辞
「なつみちゃんは神経質。我儘で融通がきかない（以下、トラウマにつき忘却）」
嘘を鵜呑みにしたAさんから公開処刑のような御祝辞を賜り、演出の花びらが懺悔のコントに見えて草。
感動の涙が、叱られて泣いてるみたいで草。
おかげで全トラブルの犯人て冤罪フラグ立って草。
挙式が済んだら入籍前に破談にしようと家族会議した夫一家から、体罰受けながら習った書道が逆転無罪を勝ち取って草！
もう百恵ちゃんの歌なんか二度と
聴く！（他人事として）
『秋桜』は兄の激推しでした。兄も母に裏切られました↓
